軒天は、その形状と環境の影響によって塗膜が劣化しやすい部位です。
軒天の塗膜の劣化を放っておくと、非常に面倒な状態になってしまいます。
軒天塗装に注目し、建物の寿命を維持しましょう。
軒天(のきてん)ってどの部位?
軒天と言っても、わからない方もいらっしゃると思います。
「軒」とは、屋根が外壁より出ているひさしの部分、その裏側にある軒の天井部分を「軒天」と言います。
軒下に入って上を見上げてみるとわかります。軒の天井が軒天です。
一般的には建物から450㎜程度出ているのが従来の軒の出であり、600㎜や900㎜の出もあります。
現代の軒天は、軒天ボードやケイカル板等に白色の塗装を行っている事が多いです。
また、和風の建物の軒天は、羽目板等の木を使って木材保護塗料を塗布しているケースが多く見受けられます。
軒天の劣化を甘く見ると大変
軒天は、軒をのぞかないと確認できない部位です。
普段外観を眺めても目につかない盲点な部分ですので、あまり気にならならないという方も多いのではないでしょうか。
そのためメンテナンスを怠ってしまうお宅も少なくないようです。
しかし、前述しましたとおり、軒天はその形状と環境により劣化が起きやすい部位です。
少しの負担で軒天の塗膜を簡単に劣化させてしまいます。
軒天塗装が劣化してしまうと次のような状態に陥ってしまいます。
塗膜の劣化で見苦しい
軒天の塗膜が劣化してしまうことで、汚く見苦しい軒天としてなってしまいます。
外壁や屋根のメンテナンスをきちんと行っていても、軒天がみすぼらしいようでは建物の価値が低くなってしまいます。
軒天の素材の劣化
軒天ボード等の軒天の素材を傷めてしまい、軒天自体が劣化してしまいます。
塗膜は素材を守るためのコーティングの役目を担っており、塗膜が劣化してしまうと軒天自体がダメになってしまうこともあるため、軒天の素材全ての取り換えとなってしまいます。
すが漏りの原因になる
軒天の素材の劣化を放っておくと、軒天に湿気や雨水により水分が溜まりやすくなり、すがもりの原因となってしまいます。
一度すがもりが起きてしまうと、野地垂木や野地板、破風板、構造材等も傷めてしまう場合があり建物に致命的な影響を与えてしまいます。
その場合、軒天塗装で数万円程度で終わるはずだったメンテナンスが、20万も30万も補修費用にかかってしまうこともあります。
たかが軒天と思われるかもしれませんが、軒天の劣化は建物自体に大きな影響を与えてしまうのです。
そんな軒天を守ってくれているのが、軒天塗装です。
軒天は、その形状と部位から塗装の必要性は小さいと思われがちですが、それは大きな間違いです。
軒天塗装によって軒天をいかに良い状態で保つかにより、建物の寿命が大きく左右するのです。
軒天塗装の劣化状態の種類
では、軒天塗装の劣化状態とは、どのような状態を指すのでしょうか。
主な軒天塗装の劣化状態をピックアップしてみました。
色あせ
軒天には、直接紫外線は当たりません。
しかし、アスファルトなどの照り返し等により軒天に色あせが生じてしまいます。
シミ
すがもりや雨漏り等により、軒天にシミが出来てしまう事があります。
シミが出来ている状態は、雨漏りを起こしている証拠です。
この様な状態になってしまったら、軒天を全て取り除き内部を点検した上で軒天材料を貼って塗装工事をしなければなりません。
軒天塗装の剥がれ
軒天塗装の表面が剥がれ、ボロボロになってしまった状態です。
軒天塗装の寿命や、軒天塗装の際の施工ミスによる塗膜剥離の恐れがあります。
カビや藻が生える
軒天は湿気が溜まりやすい部位ですので、軒天の表面にカビや藻がはえる場合もあります。
また、すがもりや雨漏りの影響でも、カビや藻が生えやすい軒天にしてしまう事があります。
この場合も、塗り替えだけではカビや藻を取り除く事が出来ないので、軒天材料を貼り直さなければなりません。
このような状態が見られたら軒天塗装のタイミングです。
この状態は、意外と見て見ぬふりをされていますが、放っておくと目も当てられない程大変な事に発展してしまうので、すぐにメンテナンスが必要です。
軒天のチェックは、年に1回は行うようにしましょう。
家の犬走りを歩きながら上を見上げて軒天をチェックするだけですので、誰でも簡単に行うことが出来ます。
外壁のメンテナンスの際は、業者に軒天を確認してもらい軒天塗装を検討するようにしましょう。
軒天塗装はなぜ白色が多い?
木の羽目板以外の軒天塗装は、白色がほとんどです。
なぜ軒天塗装は、白色が多いのでしょうか?
それは、軒天は陰になりやすい部位なので、暗くなりがちな部分だからです。
陰になりやすい軒天を少しでも明るく見せる為に、白色を塗布する事が定番となりました。
もちろん白色でなくてもどんな色でもあっても問題はありません。
ここ数年間で見かける事が多くなった軒天塗装の色は、クリーム系です。
理由は、軒天が汚れてしまった時に白色よりも汚れが目立ちにくいという理由です。
しかし、クリーム系ですと若干軒天の暗さが目立ってしまいます。
軒天に個性を出したいのであれば、白色の軒天にこだわらず若干色をつけるなどオシャレな色を取り入れても良いでしょう。
あまり濃い色では軒天が暗くなり建物の中も暗く見せてしまいますのであまりおススメはしておりません。
室内への色の効果も考慮して明るいカラーを採用する事をオススメします。
軒天塗装によく使われる塗料の種類「EP」と「AEP」、「NAD」の違い
軒天塗装に採用される事が多い塗料の種類には「EP」や「AEP」という塗料があります。
EPというのは、エマルションペイントの略です。 EPの上にAが付いたAEPは、アクリルエマルションペイントといいます。
どちらも水性の塗料ですので出来れば採用したい塗料ではありますが、水に弱い性質があります。
弊社では、軒天はNADといわれる非水分散型の塗料を採用しています。この塗料は非水というだけあって、水分を使っていない、塗料用シンナーで希釈をする塗料です。この塗料は下地との密着に非常に優れ、カビが生えにくい塗料です。
また、塗膜の持ちを重視し、シリコンやフッ素系の塗装を採用する建物も増えてきました。
軒天だけに塗布するのには高価になってしまうので、外壁塗装の際に同じ塗料を軒天にも塗布するパターンがありますので、その際にシリコンやフッ素系塗料を採用すると良いでしょう。
以前は「SOP」が使われていたこともありましたが、「SOP」はオイルペイントつまり油性ですので近年の環境問題にはそぐわないという事で採用されなくなりました。
訪問販売等の業者は、余っているSOPをどうにか使おうと勝手に軒天塗装として採用してくることがあるようです。
軒天塗装を依頼する際は、どんな材料を軒天塗装に使うのか必ずチェックするようにしましょう。
訪問業者の軒天塗装はオススメ出来ません
外部塗装といえば、訪問業者が目を付ける部位でもあります。
その際、軒天も一緒に見積もってくることが大半だと思われますが、訪問業者でよくある軒天塗装と言えば何故か素早く塗装工事を完成させる事が出来るという事です。
一般の塗装屋さんでも、早くて2日はかかります。
いくら簡単で工程が少ない軒天塗装工事でも、1日で塗装工事が終わってしまうような事は絶対ありません。
訪問業者はなぜそんなに早く軒天塗装の工事を行うことができるのか、それは所定の工程を行っていないからです。
研磨紙刷りやお掃除などの素地ごしらえは一切せず、吸い込み止めも塗布しません。
塗装工程も、なぜか1回塗布するのみ。 ただ、塗料を1回塗布するのみです。
これでは昔の日曜大工です。
プロとして任せる意味が全くありません。
訪問業者のほとんどがこのようなずさんな軒天塗装をするとは言い切れませんが、このような塗装をしてしまっている業者が多い事も事実です。
軒天は見えにくい部位ですので、訪問業者は手を抜くのです。
しかし、請求する金額はしっかり塗装してくれる業者と同等の金額です。
塗装工事は技術を要する工種ですので、絶対に訪問業者に依頼してはいけません。
安心安全なのはやはり地域密着企業です!
KIJIMAは皆さまのお近くにショールームを開いています。逃げも隠れもいたしません。
アフターフォローもしっかりさせていただき、何かあればすぐに駆け付けることができます。
やっぱり地元の塗装屋さん、KIJIMAにお任せください(^-^)
DIYでの塗り替えはオススメ出来ません
軒天塗装は一見簡単そうに見えるので、DIYでやろうと思う方も少なくないと思います。
確かに面積は少ないので、素人でも短時間に簡単に行えるような気がするかもしれません。
しかし、DIYの軒天塗装は意外と難しい作業です。
どのような部分がDIYでは難しいのか、ピックアップしてみました。
軒に塗った塗料が外壁につく
軒の天井に塗布するので、塗布の際に塗料をこぼしてしまう事があります。
こぼした場所が地面なら問題ありませんが、外壁や屋根に付着してしまうと非常に厄介です。
余計な仕事をどんどん増やしてしまうので、オススメ出来ません。
壁のような垂直な部分でも塗布が難しいのに天井はさらに難しいので、思うように上手くはいきません。
隅から隅まで塗るのが難しい
軒天はスペースが狭いので塗装が簡単な感じがしますが、隅から隅まできちんと塗るのは意外と大変です。
きちんと隅までぬかりなく塗布しなければ軒天全体を塗膜で守る事が出来ませんので、せっかくの軒天塗装も意味がなくなってしまいます。
ただ色を塗れば良いのではなく、軒天に1枚の膜を作ってあげなければいけないのが軒天塗装です。
見上げる体勢での塗装なので危険
軒の天井の塗装ですので、上を見上げて塗装を行う体勢となります。
上ばかり見上げて塗装を行っていると、足を踏み外したり足がふら付いたりしてしまう事があります。
屋根の上や脚立に上がっていると、転落の恐れがあります。
軒天塗装のDIYの事故は意外と多いので、甘く見ないほうがいいでしょう。
軒天塗装は簡単そうに見えますが、技術を要する面倒な塗装工事です。
ご自分で行って危険な目に合わないためには、プロに任せる事を強くオススメします。
KIJIMAではプロの技術でお客様の満足のいく塗装工事を行うことをお約束いたします。
安心安全なのはやはり地域密着企業です!
軒天塗装のリフォーム費用相場
軒天塗装の塗り直しの単価は、1500円~2000円/㎡の間です。
足場代が別ですので15万円〜20万円がかかります。
工程 | 費用 |
---|
軒天塗装費用(50㎡の場合) | 1800円/㎡ ✕ 50㎡ = 90,000円 |
足場代 | 200,000円 |
合計金額 | 265,000円 |
新築の際の軒天塗装には、塗り替えの素地ごしらえがプラスされます。
それにしても軒天塗装工事だけを行うとなると足場代が莫大にかかってしまいます。
軒天塗装工事を行う際は、外壁塗装や屋根塗装と一緒に行うようにすると足場代の節約になります。
外部の塗装工事は、一気に行うようにしましょう。
軒天塗装で軒天と建物を守る
建物に興味がない方にとっては、軒天は目に付く部位でもないので気にならないかもしれません。
しかし、築10年ほど経ったお宅の軒天を見てみると、ほとんどの軒天の塗膜が劣化しています。
放っておくと、軒から腐ってしまい大変な事につながります。
軒天塗装は、費用がかかりにくく簡単に終わらせる事が出来る塗装工事です。
外部のリフォームの際は必ず取り入れて、建物の寿命を高めましょう。
このような細かい部分にまで目を向けて建物のメンテナスを行っていくと、70年100年と長持ちする建物をつくることが出来ます。
長持ちする建物をつくる事ができるのは建主さま次第ですので、細かくチェックしてきれいな軒天を保つようにしましょう。